越前大野城の雲海

越前大野城雲海の撮影場所・雲海予報と時期は?

越前大野城の雲海チェックリスト

  • 雲海が出る時期は、10月中下旬〜4月上旬の早朝。
  • 時間は明け方から午前8時頃まで。明け方4時頃から雲海になることもあれば、日の出前後の30分だけ雲海になることもある。
  • 11月下旬〜1月中旬がもっとも濃い雲海が出やすい時期。12月下旬から2月末までは雪が積もることがあるので危険度が増す。
  • 雲海は、越前大野城の西、約1kmにある戌山(戌山城址・標高324m 比高160m)から望むべし。

雲海予報はできるのか

雲海は、期間中いつ行っても常に出ているという訳ではない。また、ここ越前大野は、竹田城備中松山城と比べると、越前大野は晩秋の晴れの日が少なく天候が変わりやすいため、朝霧の出る条件が整わないことが多い。仮に寒暖差や湿度が充分にあり、周囲の山々で朝霧が発生していたとしても、大野盆地は極めて広く、全域で発生していないケースも多々。大野盆地の北側・東側にある水量の多い一級河川、九頭竜川や真名川に加えて、大野城付近の平野部の田畑、周囲の山々で霧が発生しなければフル雲海には出会えないと思っておこう。大野市の話によると最も雲海が出やすい11月でも、2013年度で4回、2014年度で5回、2015年度で1回といった頻度だ。

戌山城南出丸からの風景

できれば急激に冷え込む日を狙うべし

現地滞在で地の利を得ていれば、明け方4時頃に周囲の霧の出具合でまだ判断しやすいが、それでも雲海に出えないこともある。県外から訪れるなら、気象状態を表す予報数字(前日日中の最高気温と当日早朝の寒暖差・湿度・風の有無)を頼りに訪れるしかない。この見方は竹田城の雲海ページで解説しているので参考にしてほしい。前述のように河川のない平野部で霧を期待するなら、付近で雨が降ったどうかもポイントに置いてもいいだろう。

週間天気予報で晴れと出ていて寒暖差があり、1週間ほど雲海が出ていないときを選んで、訪問寸前まで天気を確認し続け、アタックするといった具合だ。ただ、大野ではセオリー通りにいかないケースが多く、運も必要だ。できれば見当をつけた付近で前後3日間連投するなど、チャレンジに幅があれば、雲海に出会いやすいだろう。

感動風景が待っている

竹田城や備中松山城と比べると間近に城が浮いている感触が強く絶景風景。幸運な人で1回目で見られるが、中には十数回通って見られたというケースも普通にある。筆者は、県外から気象条件で判断して6回目の訪問で、フル雲海に出会うことができた。逆にいうと予報の数字が充分でも5回は見られなかった。だが、雲海が出れば、その場で喝采が沸き起こり、幾人かと喜びを分かち合うほどの感動風景に出会えるので是非トライしてほしい。

その日は、前日の最高気温が21度、前日夕方から湿度が急速に上がり、夜空に雲がなく、深夜3〜4時頃に最低気温10度を迎える日で、4時30分頃には雲海が出現していた。日によっては明け方の20分だけ雲海が出現することもあるらしい(この場合、放射霧ではなく移流霧)。参考までに失敗談をいくつか書いておく。がしかし、感覚的なもので雲海が見られることをなんら保証するものではない。

  • 大野は晴れの日が少ない。また、前日の晴れが弱いと出ない。
  • 寒暖差が13度以上、湿度が100%でも雲海が出ないケースも。
  • 大野で雲海が出た次の日は、雲海が出ない(竹田城・備中松山城は次の日も出る場合がある)。
  • 前日が雨だと無難。がしかし、川と平野部の朝霧だけでなく、山間部からも朝霧が大量発生してしまうと、朝霧の層が厚すぎて雲海が見られない場合がある。メインは大野盆地の川と平野部からの朝霧だと良い。

朝日を浴びる越前大野城

いつ雲海が出たのか知りたいときは

2015年度から、シーズンになると地元自治体「大野市企画部総務部 企画財政課 結の故郷推進室」の方々が、可能性のある日は、ほぼ毎日、展望スポットである戌山城南出丸跡に登っていて、パンフレットを配っていたり、朝日を待つ間、話をしたり、最後の人が下山するまでその場所にいたりと、その活動にただただ脱帽する。筆者は行く前に、今年度はいつ出ているのか、どんな出具合かを掲載しているサイトを探していたが、時期になると、そのコンテンツの配信を「結の故郷推進室」が Facebookページで行っているからこちらもチェックしておこう。

越前大野城の雲海撮影場所、地元カメラマン佐々木修氏がその風景を開拓

登山ルート越前大野城の西、約1kmにある戌山(戌山城址・標高324m 比高160m)の南出丸下から見られる。地元のカメラマン、佐々木修氏が山々を歩きこの風景を開拓したのが始まり。現在は大野市やラピュタの会、地元の方々の手によって、南出丸付近の木々が伐採され眺望が良くなっている。この山には、登山道を徒歩で登るしかないため、ハイキングレベルの装備はほしい。登山ルートはGoogleマップの参照を(麓から徒歩約30分)。

越前大野城を望む戌山城の雲海撮影スポット

登山口は、国道158号の「砂山(すなやま)トンネル」脇の登山道から

2015年までは「洪泉寺」がその登山口だったが、境内を抜けることができなくなり、2016年から「砂山トンネル」脇の登山道から登るようルートが少し変更された。ちょうど洪泉寺の裏手を通るかたちで、これを鍬掛(くわかけ)コースという。戌山城の登山道は、ほかに「みくら清水」などからも登れるが、堀切や空堀など要塞化された戌山城を通るのでちょっと険しい(城ファンには嬉しい遺構なのだが)。雲海だけを望むならこの鍬掛コースがおすすめだ。

越前大野城の雲海眺望スポット、戌山城の砂山トンネル脇の登山口

駐車場はホームセンターパルスを利用

ホームセンターパルス駐車場駐車スペースは、登山口の少し南にあるホームセンターパルスの無料駐車場(約1,300台)を、利用することができる(詳しい場所は上記Googleマップ参照)。

ホームセンターパルス前にはコンビニ

越前大野のコンビニ(雲海スポット)美濃街道(国道158号線)を挟んで、ホームセンターパルスの前に、2017年にコンビニができたので、前日入りの車中泊でなにかと便利になった。トイレをお借りするときは、お礼になにか買うと良いかも。

展望スポットまで登山約30分

戌山城の登山道駐車場から展望スポットまで約1.2km。登山道は1本道で、木で組まれた階段など従って登っていけば、展望スポットにたどり着く。んがしかし、夜明け前の登山であれば、前日の明るいうちに登山道の下見をしておくことを強く推奨する。登山になれている人であればさほど苦労することは無いが、たとえば前日に雨が降った場合は、登山道は恐ろしく滑りやすく、足下は悪い。 また登山道は、狭いところで道幅30cmほどになり、片方は傾斜があって落ちれば危ない場所もある。充分に登山の装備(服装や靴)を整えて登ってほしい。仮に靴底が平らな町履きの靴で登ると、間違いなく滑って、運良く怪我をしなくてもドロドロになって帰ってくることになる。日の出前なら懐中電灯も忘れずに(登山用ヘッドライト推奨)。もちろん、夜明けを待って登るなら迷うことはない。

余談だが、この道は、近年新しく作られた道と思いきや、現地の古老によると、昔から隣り村に抜ける道として郵便局員が利用していたらしい。雨が降るとぬかるんでしまうため、地元自治体の人々が階段の整備を手がけている。下の写真は展望スペースとその眺望。

戌山城南出丸下の展望スペース戌山城南出丸下から越前大野城の展望

レンズは何ミリが良いか

展望スペースの幅は、約7〜8mで最前列には10人強が三脚を並べることができる。そこから越前大野城の天守までの直線距離で約950m。越前大野城の城山全体が雲海に浮かぶ全体風情なら70mm程度のレンズ(35mm換算)で良く、ちょっと天守付近をアップにしたいといったときは200mmもあれば充分だろう。備中松山城はその展望台から約1.1kmと、ざっくり同じような距離感だが、越前大野の方がかなり近く感じる。

レンズ焦点距離70mm

日の出間際で大野盆地にはまだ光が差していない。静かな雲海が撮影できる。余談ではあるが大野盆地を捉えようと、北西にある「銚子ヶ口展望広場」にも行ってみたが、10km以上も距離があるため大野城が認識できないほどの小ささになる(少し距離があるが牛ヶ原からは見られるらしい)。
越前大野城の雲海

レンズ焦点距離100mm

白山(標高約1671m)や経ヶ岳(標高約1625m)など、背後の山々を借景にした構図。10月の撮影(写真)だと山々がシルエットになるが、11月下旬になると背後の山腹にも光が指すため、山の起伏を捉えることができる。今度は晩秋にチャレンジしたい。ちなみに、このページ冒頭の天守をアップにした写真は、レンズ焦点距離400mmのアングルとなる。
越前大野城

何時頃に行けば良いか

最も雲海が期待できる11月中下旬の日の出時間は、およそ朝6時30分頃(10月下旬は朝6時頃)。戌山の登山口から頂上まで徒歩30分の時間を考えると、日の出30分前の登山開始と言いたいところだが、休日で気象条件の良い日となると、展望スペースに入ることすらできないくらい満杯(約60〜120人といった日も)になる。充分に視野を確保したいときは、夜明け2時間前には登っておきたい。今後、知名度が上がるにつれこの時間はより早くなるだろう。

雲海で大野城が隠れた様子なお、夜明けとともに雲海が拝めれば御の字だが、朝霧のボリュームが厚く城が隠れることもある(写真)。日によるが、この間、しばらく日の出後も待たなければいけない場合は、例えば気温2〜3度などの中でじっと待つことになるので(これが一番寒い)、防寒対策も忘れずに。12月〜2月は積雪があるのでさらに注意が必要。このエリアはここ2・3年は暖冬とはいえ、毎年1mは積もるエリア。というか積雪があれば登山道も雪に埋もれるので、雪山に慣れていない人は充分に気をつけて。

熊にも注意

11月は熊の冬眠前でよく出没するらしい。その一方で寒ければ出ないとも地元では言われているが、熊ベルなどこちらから音を発するものを身につけるにこしたことはない。ちなみに2014年度は11月の段階で、岐阜や長野、福井などの各県で既に昨年1年間の出没件数を超えたらしい。餌不足から冬眠が遅れているとも。余談ながら、展望スポットのある戌山城だけではなく、越前大野城のある亀山にも熊が出没することがある。この場合、亀山は入山禁止になるが、戌山にはアナウンスが無いから自身で警戒が必要だ。

もしも列車アクセスなら

越前大野は、10件弱の旅館と1件のビジネスホテルがある。そこからタクシー利用するか徒歩で向かうしかない。現地のタクシー会社はいずれも原則として朝6時から。日の出後の雲海のみ愉しめる。または思い切って、JR福井駅近郊には24時間営業のタクシーがあるので片道約1時間(約1万円)という手もあるが、こうなると現地で霧の様子を確かめてから登りたいのでやはり泊まって宿から徒歩の方がいい。

大野市の清水さんにお世話になりました。記して御礼申し上げます。

(文・写真:岡 泰行)

天空の城は、ほかにも。

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