彦根城の構造と見どころ

表御殿(彦根城博物館)

表御殿 彦根城の見どころ

彦根城の表御殿は元和期に建てられた。藩主の住まいはそれまで、本丸にあった御広間だったが、麓に移ったことで、敷地面積も1万平方メートルを越える規模となった。麓に移された理由のひとつには、豊臣氏の滅亡後に到来した元和偃武(げんなえんぶ=天下泰平の世)の到来があげられる。戦の時代が終わり、防御性能は高いものの山上の手狭な本丸より、山下の御殿の方が、利便性が高いという判断なのだろう。

表御殿は、政務や公式行事の場である「表向き」と、藩主の住まいである「奥向き」とに分けられていた。表向きは玄関、御広間、御書院など6棟で構成されており奥向きの約2倍の広さがあった。奥向きは御殿向、御広敷、長局で構成され、江戸後期には新御殿と庭園が新たに造営された。1800(寛政12)年には、御広間と御書院の間に能舞台が造られている。
 彦根城表御殿の能舞台
 彦根城表御殿の能舞台
能舞台は表御殿の現存遺構(再移築)。地下には音響効果を高めるための漆喰製の桝が発掘調査で出土しそれを活用している。

明治維新を経た1878(明治11)年、表御殿は公売に付され、ほとんどの建物が撤去されている。1987(昭和62)年、彦根市の市制50周年を記念して彦根城博物館が建てられた。建築にあたっては、事前の発掘調査や古写真、絵図などを元に、表向き部分は鉄筋コンクリート造による外観復元、奥向きは伝統的木造建築で再現された。庭園も、古絵図や遺構を元に、当時の姿に近いものが作庭されている。

(文=mario 写真=岡 泰行)

彦根城の構造と見どころ
彦根城