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久留里城の歴史と見どころ

久留里城(くるりじょう)は、清澄山系に発する小櫃(おびつ)川中流の丘陵上に築かれた山城で、上総と安房の境を押さえる要衝にある。古くは将門伝説が残るが、実際の築城は真里谷(まりや)武田氏によるものと考えられる。甲斐武田氏の一族である武田信長は、応永24年(1417)に甲斐守護武田信満が自害した後、室町幕府の保護を受け古河公方から上総国の守護職に任ぜられ、庁南・真里谷に城を構えて勢力を伸ばした。久留里城は、この真里谷武田氏の支城として築城されたのが始まりとされる。初期の城は現在より北方の丘陵(古久留里城、通称:上の城)にあり、真里谷武田氏の勢力下で整備された。

その後、戦国期に里見氏が上総へ進出し、真里谷武田氏(武田勝真勝ら)を圧倒して久留里城を奪取。里見義堯(よしたか)が現在の地に城を整備し、本城と定めて上総支配の拠点とした。義堯は天文22〜24年(1553〜1555)頃、宿敵北条氏の侵攻に備え、久留里を中心に佐貫城などを修築した。

天文22〜24年(1553〜1555)にかけては、北条軍の度重なる攻撃を受けたが、里見氏の要請により関東に進出した長尾景虎(のちの上杉謙信)の援軍により退けている。のち義堯の子・義弘(よしひろ)は永禄7年(1564)の国府台合戦で敗れ、一時久留里に退いた。その後、天正2年(1574)に北条氏と和睦を結び、本拠を佐貫城へ移し、久留里城には実子の梅王丸を置いたと考えられる。義堯が入城してからの約40年間、久留里は房総の政治・軍事の中心であったといえる。

天正18年(1590)に豊臣秀吉が北条氏を滅ぼすと、徳川家康に関東が与えられ、久留里城には遠江横須賀から大須賀忠政が三万石で入城した。大須賀氏転封後の慶長6年(1601)には土屋忠直が二万石で入封し、 その後、土屋氏(利直・頼直)を経て、延宝7年(1679)に改易後に廃城となった。

この際、久留里領は厩橋城主であった大老酒井忠清の加増地となり、久留里城南麓の安住に代官所が置かれた。のちの寛保2年(1742)に上野国沼田城から黒田直純が三万石で移封され、約3年の歳月をかけて城を修復・再建し、以後明治維新まで黒田氏十代の居城として続いた。

現在の天守風建物は黒田氏時代の構えをもとに再建されたものだ。久留里城跡は「久留里城址資料館」として整備され、石垣や空堀、曲輪の遺構がよく保存されている。

久留里城の特徴と構造

久留里城は標高145m、比高100mの丘陵上に築かれた連郭式山城である。本丸と、西方約150m離れた二の丸を中心に、周囲へ尾根を伸ばすように曲輪群が展開し、深い空堀と土塁で区画されている。

本丸の北端には物見と考えられる剣ヶ峰、本丸の周囲には阿弥陀曲輪・天神曲輪などが配置され、西北尾根には幅10m前後の空堀が何重にも巡らされた。

二の丸周辺には薬師曲輪や久留里曲輪が残り、北の尾根には深い堀切によって区画された三の丸と三か所の郭が形成され、その中には焰硝庫跡(火薬庫)も確認される。

この山城部分(本丸・二の丸)のほか、小櫃川の河岸段丘上には、川の蛇行を巧みに取り入れた自然の外堀と内堀によって外部と区画された三の丸と外郭が認められる。この中世の詰の城(戦時の居所)と、河岸段丘上に広がる平時の居住地(三の丸など)を併せ持つ構造が特徴で、房総の地形を巧みに活かした防御的設計がみられる。

参考文献:

  • 『日本城郭大系6』(新人物往来社)
  • 「久留里城址資料館」君津市Webサイト

久留里城の観光情報・アクセス

所在地

住所:千葉県君津市久留里字内山 [MAP] 県別一覧[千葉県]

電話0439-27-3478(久留里城址資料館)

開館時間

久留里城址資料館は、9:00〜16:30、月曜休館(月曜日が祝日の場合、翌日休館)。入城無料。

アクセス

鉄道利用

JR久留里線、久留里駅下車、徒歩約35分。

マイカー利用

首都圏中央連絡自動車道、木更津東ICから約15分。久留里城址資料館駐車場を利用可能。

久留里城:城ファンたちの記憶

実際に久留里城を訪れた城ファンの皆さまが綴る、印象に残った景色、人との出会い、歴史メモ、旅のハプニングなど、心に残る旅の記憶を共有しています(全3件)。

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    山城でした。遺構は整備されていてあまりありませんでした。復興天守があり、小さいですが仲々でした。復興天守と資料館には無料で入れます。

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    城下で北条氏綱と大きな合戦をしたらしいです。

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    古くは武田信長が作ったそうです(名前がゴージャス)。その後、里見氏が入って上総支配と侵攻の拠点としたそうです。

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城の情報

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