写真:岡 泰行

浜松城の歴史と見どころ

浜松城は、もとは今川氏の城だったが徳川家康によって攻略された。元亀元年(1570)、家康は武田の侵攻を警戒し岡崎城から本拠を移した。天竜川が作った河岸段丘を利用し、東に防御の強い城だった浜松城(曳馬城)。今では分かりづらいが、段丘上から東側の見晴らしがよく武田氏の侵攻を警戒するのに良い立地だ。

浜松城跡の発掘調査資料

令和3年7月19日に浜松市文化財課からパンフレット『浜松市の文化財4 市指定史跡浜松城跡』が刊行。A3カラーでCGや現在の町並みとの重ね合わせ図などが盛り込まれている。下記サイトでPDFにてダンロードができる。

浜松城と城下をめぐる

浜松部会記念誌浜松部会記念誌『浜松城と城下をめぐる』(400円・浜松市市民部文化財課編集・2015年3月25日発行)が、ずばり良い。Allカラーで浜松城の見どころが発掘風景や縄張図、絵図、城下町の形成過程、新しく復元された天守門の図面など、とても400円と思えないレベルで見事に一冊にまとまっている。天守内で購入できるぞ。

家康公の城展示館

浜松城、家康在城期の堀跡の断面家康公の城展示館は、徳川家康在城期の堀跡出土地で本丸を南へ降りてすぐ。その堀の断面が、隣接する展示館内で見られる。展示館は2015年8月1日〜9月14日までで以降は、土日祝日のみの開館が予定されている。詳しくは、浜松市都市整備部公園課(TEL:053-457-2353)まで。

犀ヶ崖資料館

勝軍地蔵犀ヶ崖資料館では、三方原の戦いに関する資料が若干展示されている。それに関するお話も聞ける。バス停「浜松北高」または「さいが崖」下車。写真は、犀ヶ崖資料館で展示されている徳川家康の兜前立勝軍地蔵尊。犀ヶ崖古戦場について詳しくは歴史スポットの項をご参照を。

家康の散歩道

家康の散歩道浜松城近郊の歴史スポット散策なら、リーフレット『家康の散歩道』(無料)が良い。最近になって、浜松城のリーフレットにもその抜粋版が掲載されているが、もとの『家康の散歩道』の方が詳しい。JR浜松駅の観光案内所で表に並んでいる訳ではないので『家康の散歩道が欲しい』といえば出してくれる。たとえば、徳川秀忠公誕生の井戸、鎧掛松、大手門跡など、浜松の史跡が掲載されている。全てを巡るとちょっと体力勝負だがレンタルサイクルで巡るのもいいかも。

浜松城の撮影方法

東側に隣接する浜松市市役所の屋上が無料開放されている。屋上にはネットがあり邪魔で多少見えにくいが眺望は抜群だ。また、2023年度の大河ドラマ『どうする家康』にあわせて進められていた浜松城天守閣の改修工事が2022年12月17日に完了し一般公開された。外壁のひび割れの補修や塗り直し、高欄の鳥避けのネットが外れた。

そのほか城内の撮影では復元された天守門は東向きなので午前中の攻略が良い。また、遠景は「ホテルコンコルド浜松」の最上階(18階)のレストランから。といっても、思いっきり周囲のビルが写り込むので戦国らしさは出ないかも。

浜松城の写真集

城郭カメラマン撮影の写真で探る浜松城の魅力と見どころ「お城めぐりFAN LIBRARY」はこちらから。

浜松城の関連史跡

犀ヶ崖古戦場

犀ヶ崖古戦場三方ヶ原の合戦で敗走した徳川軍を追った武田軍は、犀ヶ崖の手前で一夜を明かすことになるが、家康が夜襲をかけ、その時、崖の上に白い布をかけて橋があるように見せた。驚いた武田勢は橋を渡ろうと、深い崖に多数落ちたと伝わっている。現在でも布橋という地名が現地に残る。現在の崖の深さは約13m、幅30m、120mの長さがあるが、当時は深さ約40m、幅50m、長さは約2km余りあった。その崖が見られるほか、三方ケ原の戦いで討死した武将、本多肥後守忠真の碑や夏目次郎左衛門吉信の碑、資料館がある。資料館には、徳川家康の兜前立勝軍地蔵尊が見られる(なぜか、ねずみ小僧次郎吉の墓もある)。

浜松城の前身、曳馬城跡

曳馬城城では、浜松城の前身といわれる曳馬城跡。浜松城から東へ300m。現在は東照宮となっていて鳥居のすぐ右手に石碑があり、境内北東隅に多少の土塁が残る。また、当時の堀が道路となって残っているからその地形やサイズが実感できるぞ。

太刀洗の池と西来院

太刀洗の池家康の正室、築山御前の葬られている西来院(浜松市広沢)は浜松城から西へ約1km足らずの住宅街の中にある。そこからさらに西へ約1kmで、御前を斬ったときにその太刀を洗ったという太刀洗の池の跡を示す石碑がある。

少しマニアックに浜松城出城跡と大手門跡の石碑をチェック

浜松城出城跡浜松城から南へ徒歩5分の距離に、浜松城の出城があった。現在は浜松市中央図書館になっていて、その階段脇に、出城跡の石碑がある。遺構は見当たらないがその地形のみ分かる。また、出城跡から徒歩3分、大手通(国道152号線)の連尺交差点付近に、浜松城大手門跡の石碑があるぞ。ちなみに大手通には市役所前に二之丸跡の石碑もある。浜松城→出城跡→大手門跡石碑→二之丸跡石碑→引間城跡とぐるっとまわって散策するのも良いかも。

秀忠誕生の井戸

徳川秀忠公誕生の井戸徳川秀忠誕生の井戸と呼ばれ、もとは線路を越えて西側のクリエート浜松付近にあったらしい。2015年11月までは井戸跡は駅工事のため、撤去されているがその後は復旧して見られるようになる。

お田鶴の方の石碑と椿姫観音

椿姫観音第四代曳馬城主、飯尾乗竜(今川家重臣)の正室、お田鶴の方は曳馬城を守っていたが、永禄11年(1568年)12月、家康に攻め込まれ、城兵や侍女18人と共に打って出て全員討死する。この辺り一帯が戦場となった。家康はお田鶴の方と侍女を手厚く葬り祠を建て、築山御前が椿を植え、以後「椿姫塚」「椿姫」と呼ばれるようになっていく。祠は、椿姫観音堂から5m西北にあった小さな台地にあったと伝わっている。近年、御堂に観音像を祭り、椿姫観音堂には元浜松町の人たちによって大切に守られている。観音堂前には、「元曳馬城主、飯尾豊前守乗竜 奥方 お田鶴の方」と書かれた石碑がある。

日本で唯一現存する関所、新居関所

新居関所江戸時代の東海道の関所で、日本で唯一現存する関所。正式名称を今切関所という。徳川家康が慶長5年に、元今川氏の家臣、江馬与右衛門を奉行とした。関所は、「女改め」や「入り鉄砲に出女」で知られるように、女と鉄砲の出入りは、特に厳重に取り調べられた。開館時間は9:00〜16:30、月曜日(休日の場合は開館・8月は無休)・年末年始休館。資料館も隣接しているぞ。

舞坂宿脇本陣と中村家住宅

浜松から新居関所への道すがら、舞坂宿脇本陣(舞坂宿の脇本陣で書院棟が現存。旧東海道では唯一の脇本陣の遺構)、徳川家康の側室お万の方が家康の第二子である於義丸(結城秀康)を出産した中村家住宅(重要文化財)もある。

浜松城のおすすめ旅グルメ

浜松の鰻浜松といえば、うなぎ。『浜名湖うなぎ味処MAP』で紹介されている。有名店だと「八百徳」「うなぎ藤田」あたりか。焼いた鰻でなく、蒸した鰻でうまみが逃げずに実に豊満な味。んが、誰もが知る名店といえど、タレとご飯に凝っていて、鰻そのものに旨みがないケースもあるのだとか。

浜松城の史跡めぐりにこだわる最適なホテル

ホテルコンコルド浜松城周辺は料金少し高めになるかもだが「ホテルコンコルド浜松」。上階だと浜松城天守が望めるぞ。リーズナブルに探すならJR浜松駅周辺にビジネスホテルが多数ある。また、ちょっと温泉好きなら浜名湖周辺の温泉旅館が良いかも。

浜松城のアクセス・所在地

所在地

住所:静岡県浜松市中区元城町100-2 [MAP] 県別一覧[静岡県]

電話:053-453-3872(浜松城天守閣・天守門)
電話:053-457-0088(浜松城公園)

開館時間

浜松城天守は、8:30〜16:30。休館日は12月29日・30日・31日。

アクセス

鉄道利用

JR東海道本線、浜松駅下車、バス1番乗り場から出る全てのバスで約8分「市役所前」降車、徒歩6分。

レンタルサイクルは、JR浜松駅から北東へ徒歩7分の「浜松市観光バス公共駐車場」で(TEL:053-413-2020)。詳しい場所は上記Googleマップ参照。

マイカー利用

東名高速道路浜松ICから県道65号線を2km、国道152号線を6km、浜松市役所駐車場(100台平日無料、休日有料)利用。

城ファンの気になるところ (9)

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    三方ヶ原のある台地の突端に浜松城はあるらしい。

    ( 光秀)

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    野面積みの石垣が有名で、徳川家康が17年間住んでいた。江戸時代には出世城としても有名だった。水野家など。しかし、第二次世界大戦中に消失してしまい、復元されたが小さくて物足りない。

    ( まさゆき)

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    平成14年9月2日から9月30日の1ヶ月間、天守閣内の修復工事のため、天守閣の見学はできません!注意してお出かけください。

    ( おがしん)

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    浜松城は、昔、今川のお城だったけど、徳川家康が織田信長と同盟を組み、浜松城は徳川家康の物になったんだよ〜。

    ( 荒木健吾)

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    犀ヶ崖資料館は楽しい!資料が豊富です。

    ( おーが)

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    浜松城から10kmほど離れた郊外にある中村家住宅。家康の家臣の屋敷で、秀康が生まれた屋敷が残っているぞ。

    ( shirofan)

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    2014年10月に発掘された家康時代の堀が、再び姿を現し、2015年8月1日から9月14日まで、見ることができる。また、特設の展示館で堀の地層をはぎ取った標本も展示。9月19日〜10月25日まで土日と祝日にのみ延長公開も。展示場所は市役所本館の西隣。

    ( shirofan)

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    平成26年に木造建築の天守門(2層の櫓門)が復元されました。

    ( 城好きの匿名希望)

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    バスが苦手な人はローカル線遠鉄電車「遠州病院駅」で下車すれば徒歩10分強で行けます。ルートも西へまっすぐ進むだけなので簡単。

    ( 史子)

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