写真:岡 泰行
久能山城の歴史と見どころ
久能山城は、駿河湾を見下ろす標高210mの山城。かつてこの地には、7世紀頃に建立された久能寺があった。永禄11年(1568)、武田信玄が駿河湾を監視するため山上の寺を城塞化したとされるが、それ以前の今川氏時代にも城として機能していたと考えられている。駿河湾を遠くは伊豆西海岸まで見渡す立地で、北条水軍の監視にあたった。また、信玄は武田水軍の本拠地として東北5kmに清水袋城を設けている。
武田氏滅亡後は徳川家康の城となった。慶長12年(1607)、家康は駿府城で隠居する。元和2年(1616)、家康が死去、遺命により遺骸は久能山に埋葬された。久能山には東照社が創建され「東照大権現」の神号が贈られ、その後、宮号の宣下があり「東照宮」と称するようになった。現在の久能山東照宮のことである。
久能山東照宮の拝殿(本丸跡)。社殿は二条城・名古屋城などを手がけた大工棟梁、中井正清の手によるものだ。
本丸奥に造られた家康の遺骸が収めれた神廟。三代将軍家光により石造りに改められ御宝塔と呼ばれた。
二の丸跡に残る深さ約33mの勘助井戸。武田信玄の軍師、山本勘介が掘ったと伝わる。
久能山東照宮を訪れると、その立地に驚く。久能山東照宮WebPageによると、長い年月の浸食で堅い部分のみ残り現在のように孤立した山容となり、守りに固い城となったらしい。また、大手一の門(大手門)から眼下に広がる駿河湾の眺めは、おそらく、かつて家康が見たであろう風景と変わりなく、眩しい光彩が、生き生きと今に伝わる歴史景観となっている。
久能山城の撮影方法
久能山城の写真集
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久能山城は駿府城とセットで訪れたい。また、久能山東照宮の境内では「久能山東照宮博物館」がある。大河ドラマ「どうする家康」で桶狭間の合戦時に登場した徳川家康の金色の具足「金陀美具足(重要文化財)」など、東照宮に奉納された武具や徳川家康の日常手沢品などの貴重な展示がなされている。
久能山城のアクセス・所在地
所在地
住所:静岡県静岡市駿河区根古屋 [MAP] 県別一覧[静岡県]
電話:054-237-2438(久能山東照宮社務所)
- 公式サイト:久能山東照宮
アクセス
「静岡鉄道日本平ロープウェイ」と「久能山下から徒歩」(1,159段の石階段)」の2ルートがある。本ページではアクセスしやすい前者の「静岡鉄道日本平ロープウェイ」を紹介する。
鉄道利用
JR東海道本線、静岡駅下車、しずてつジャストライン日本平線バス45分「日本平ロープウェイ」降車、日本平ロープウェイで5分。
マイカー利用
東名高速道路、清水ICから、約26分(13.7km)。日本平ロープウェイ乗場を目指す。無料駐車場(200台)有り。
※久能山下から徒歩ルートについては、大手一ノ門が17時に閉門されるので注意が必要だ。上記公式サイト参照のこと。
城ファンの気になるところ (2)

12月頃から5月頃まで久能山下にひろがる石垣いちごの「いちご狩り」がオススメです。東照宮内で城を感じるものは、小さな説明板ぐらいですね。一般参道から遺構探索は厳しいです。ただし、東照宮に築かれた切込ハギの石垣は見事です。また東照宮博物館には家康ほか徳川氏の遺品を展示しています。
( こきまろ)さんより
近くの日本平には久能山東照宮があり日光東照宮に移されるまで家康が祀られていました。春頃には久能山の海岸線には石垣イチゴの季節でイチゴ狩りが楽しめます。
( いまじゅん)さんより