2026年の桜と城 ─遠出を控え近場で拾った春の断片─

2026年の桜は、思うように空と噛み合わない年となりました。それでも、限られた時間の中で城をめぐり、光と桜が重なる瞬間を拾い集めています。遠出を控えた分、ひとつひとつの出会いが印象深く、風景の変化や時間の積み重ねを感じる撮影行となりました。ここでは、その断片を写真とともに辿っていきます。

伏見城には、公園内には約1,000本のソメイヨシノがありますが、天守の側の桜は限られています。ほんの数枚、絵になる風景を探し歩きます。現在の天守は、もとは伏見桃山キャッスルランドのもので復興天守となります。当時の遺構ではありませんが、城門脇や、天守虎口前などには、当時の矢穴痕や刻印を有する伏見城の残念石が置かれています。撮影後は城下に移動し、十石舟の行き交う水面の風景を見にいきます。この日はその後、さらに滋賀県へと向かい、大津城下で琵琶湖疏水の桜、膳所城下で本多浜御殿跡の桜を撮影を行いました。

伏見城の天守と桜
伏見城の天守と桜
伏見城の残念石
伏見城の残念石
伏見城下の十石舟と桜
伏見城下の十石舟と桜

2026年の桜も、気づけば後半戦に入りました。とはいえ、今年は晴天に恵まれたのがわずか一日だけでした。いつもなら「晴天」「満開」「予定」が揃った瞬間に旅立つのですが、今回は天候が難しく、遠出の段取りを組むことができません。できることなら、澄みきった青空を見極めてから出陣したいところですが、今回は近場で最良の一瞬を狙うことにしました。

2001年頃、文藝春秋から桜の城特集の依頼をいただいたことがあります。当時はまだ桜の写真を積極的に撮っておらず、手元にあったのはほんの数枚だけでした。このとき掲載されたのは、長浜城龍野城姫路城の写真です。

なかでも長浜城は、筆者にとって最古の「桜案件」といえる城です。つまり写真が古い。そこで、今回25年ぶりに訪れました。もともと好きな城のひとつですが、桜が成長したことでアングルは大きく制限されており、少し距離を取り望遠で切り取っています。眺望の良さゆえに高欄から人の流れが途切れず、少し時間を使います。

帰路には水口城を訪れました。こちらも12年ぶりの訪問です。周囲の景観はほとんど変わっていませんが、2025年には木橋が新しくなりました。乾櫓台周辺の桜並木も美しく、夕方の光とともに印象に残る風景を捉えています。

長浜城天守の桜風景
長浜城天守の桜風景
水口城の模擬御矢倉「水口城資料館」と桜
水口城の模擬御矢倉「水口城資料館」
水口城の東枡形(出丸)
水口城の東枡形(出丸)
水口城の乾御矢倉台と桜風景
乾御矢倉台の桜風景