姫路藩の御座船

現存する川御座船の船屋形

江戸時代の姫路藩主が河川の遊覧に使用していた『川御座船』の屋形部分が相楽園(神戸市中央区)に移築現存している。相楽園は神戸市が管理する公園で池泉回遊式の日本庭園だ。御座船は姫路に本多家が入封した天和2年(1682)〜元禄17年(1704)の間に造られたものと推定され、明治初年に飾磨港付近から高砂に移され、屋形のみ陸揚げされ茶室として利用されていた。この時、天井高が約1mほどの狭い1階を、柱を60cm長くして広い空間に改築している。昭和16年(1941)に神戸の舞子に移築、昭和53年(1978)神戸市に寄贈され、昭和55年(1980)にこの地に移築された。

船尾から見た姫路藩の御座船船屋形
姫路藩の御座船船屋形の側面
姫路藩の御座船船屋形の装飾

木造2階建で総漆塗、屋根は切妻造檜皮葺となっており、2階内部は船首側から「床机の間」「上段の間」「次の間」と3部屋からなる。1階も同じく3部屋で「床机下の間」「上段下の間(茶室として利用された)」「次下の間」となっている。2階への木階段を船首側、船尾側と両側に設けている。外観は細部が装飾され繊細で豪華な造りだ。木の部分はすべて漆塗で、舞良戸や長押や垂木の先端には金箔を使用した錺金具がある。

御座船の船屋形は、ほかに「細川家波奈之丸舟屋形(肥後藩細川家・熊本博物館蔵)」「西光寺船屋形(多度津藩・西光寺蔵)」が現存しているがいずれも海で使用するもので、川御座船は姫路藩のこのひとつのみだ。国の重要文化財に指定されており、毎年、春と秋に船屋形内部を外側から観られる特別公開がある。

相楽園とは

相楽園は元神戸市長、小寺謙吉氏の先代小寺泰次郎氏の本邸の庭園で、明治18年(1885)頃から明治末期に造られ、昭和16年(1941)に神戸市の所有となり、一般公開されている。敷地面積は19.566m²、庭園は池泉回遊式日本庭園で、その一角に姫路藩の御座船(船屋形)が移築現存している。園内にはそのほか、明治43年(1910)建築の旧小寺家厩舎、明治35年(1902)建築の旧ハッサム住宅など重要文化財もあり、庭園とともにさながら建築物の博物館としても愉しめる。

参考文献:現地案内板、特別公開時資料、相楽園パンフレット

神戸市立「相楽園」の基本情報

神戸市立「相楽園」
住所:神戸市中央区中山手通5-3-1(MAP
TEL:078-351-5155公式サイト

開園時間:9:00〜17:00(入園は16:30まで)
開園日:1月4日〜12月28日 木曜定休(祝日の場合は開園、翌日休み)
入園料:大人(15歳以上)300円、小人(小・中学生)150円
交通:神戸市営地下鉄「県庁前駅」下車、北へ徒歩5分。JR・阪神「元町駅」下車、北西へ徒歩10分。駐車場無し。

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