金沢城の歴史・見どころ

1546(天文15)年、浄土真宗(一向宗)の寺院として創建された尾山御坊(金沢御堂)が、この地に城塞ができるきっかけとなった。尾山御坊は寺院でありながら加賀一向一揆の拠点でもあったため、堀や柵、土塁などを備えた城としての性格も持ち合わせていたとされる。

1580(天正8)年に、浄土真宗第11世宗主、顕如が織田信長と和議を結んで本山の石山本願寺から退去すると、加賀一向一揆も勢いを失い尾山御坊は柴田勝家の甥、佐久間盛政に攻められて陥落した。盛政はここを居城として城郭や城下の整備に取り組んでいたが、賤ケ岳の戦いで豊臣秀吉に敗れ刑死。賤ケ岳の戦いでは途中で戦線を離脱し、秀吉に降伏した前田利家が、その功により能登一国に加えて加賀の石川郡、河北郡を与えられ入封。これが後の「加賀百万石」の原点となった。

利家はさっそく城の整備にとりかかる。このとき力を発揮したのが、キリシタン大名として有名な高山右近である。右近は秀吉のバテレン追放令に際して棄教せず、大名としての地位を手放す選択をし、このときは前田家に庇護されていた。五大老として大坂や京にいることが多かった利家に代わって、嫡男の利長が領国の差配に当たっていたとされ、右近の助言のもと、利長による城の整備も進んでいたものと思われる。

一方、1602(慶長7)年には天守が落雷による火災で焼失する。その後、天守は再建されず、御三階櫓と呼ばれる小規模なものが天守台に置かれた。金沢城はそれからも度々、火災に見舞われており、1759(宝暦9)年には全焼の被害にあっている。

明治を迎えた1871(明治4)年には兵部省(後の陸軍省)の管轄となり、太平洋戦争が終結するまで、陸軍部隊が駐屯した。この間、1881(明治14)年にも火災が発生しほとんどの建物が焼失している。なお、このとき焼け残った石川門、三十間長屋、鶴丸倉庫は後に、国の重要文化財に指定されている。

1978(昭和53)年、城内をキャンパスとしていた金沢大学が移転を決定し1995(平成7)年に完了。翌1996年には石川県が国から城地を取得し、「金沢城公園」の整備が始まった。その後、菱櫓、河北門、いもり門、鼠多門などが復元されている。2008(平成20)年、国の史跡に指定された。

令和6年(2024)1月、能登半島地震で金沢城も被災した。石垣のせり出し、膨らみ、崩落が計28カ所で確認された(崩落は5箇所)。石川県金沢城調査研究所によると、崩落した石垣は、明治以降のものが多く、その技術が明治時代に受け継がれていない可能性があるという。同年5月、修復に向け具体的な工法を検討を始めた。

参考文献:
『日本城郭大系7』(新人物往来社)、『探訪ブックス城3 中部の城』(小学館)、金沢城公式WebSite、兼六園公式WebSite、金沢城リーフレット

金沢城の特徴と構造

金沢城が立地しているのは地理的に、犀川と浅野川の間にある小立野(こだつの)台地の一番端である。標高約60mの最高部に本丸、その北麓に御殿のあった二の丸と三の丸、内堀をはさんで新丸などが置かれていた。新丸の北側に大手門があるほか、黒門(西町口門)、鼠多門、石川門などがあった。

金沢城の橋爪門
枡形から見る橋爪門と橋爪門続櫓と一の門

城内にあった櫓は20、長屋が14、土蔵が19を数えたという。それらを大手堀、白鳥堀、百間(蓮池)堀、いもり堀などの堀が囲んでいた。さらに、犀川、浅野川も天然の堀として存在している。

金沢城の石垣
金沢城のチギリ金沢城の魅力のひとつが、石垣である。そのほとんどが、約8km離れた戸室山で産出したもの。大手門の鏡石や土橋門の亀甲石、野面積みや打ち込みハギ、切り込みハギ、明治期に築いた谷積みなど、さまざまな技巧が見られる。また、戸室山周辺には、石切り場や石引き道などの跡も残っている。写真1枚目は石川門虎口で見られる打ち込みハギ積み(左手)と切り込みハギ積みの石垣(右手)。写真2枚目は石垣に見られる鉛を用いたチギリ。

石川門

石川門石川郡の方面を向いて立つのでその名があるとされる、金沢城の搦手門。宝暦の大火で焼失したが、11代藩主治脩(はるなが)の時代に再建された。国指定重要文化財。

鼠多聞・鼠多聞橋が復元

金沢城の鼠多聞・鼠多聞橋2020年7月18日に、鼠多聞・鼠多聞橋が復元された。鼠多聞橋は金沢城公園と尾山神社(金谷出丸跡)を結んでいるので、尾山神社へのアクセスも良くなった。そのため、移築現存する尾山神社神門(二の丸唐門)も合わせて見ておくと良いぞ。

金沢城城郭を3Dで再現

現在では手に入りにくいが『現代によみがえる幻の城郭「金沢城」』。株式会社橋本確文堂より1999年に1,000部限定で発売されたCD-ROM。金沢城城郭を3Dで再現し、その中を歩くことができる。内藤昌氏監修。CD-ROM内では天守も復元され、ありし日の金沢城を見、そしてQTVRで体験することができる。

金沢城の撮影スポット・絶景ポイント

金沢城の石川門と桜石川門、菱櫓、三十間長屋はじめ、建築物は早朝の撮影が良い。春だと桜に囲まれた石川門が美しい。ライトアップ撮影は、石川門は公園の外から撮影できるので問題ないが、菱櫓など、代表的な復元された建築物は公園内。金沢城は季節によって開園時間が異なる(下記)ので日没時間と合わせて要チェック。

金沢城のライトアップライトアップは3200Kあたりの暖色系と思われる。このため、昔ほど白漆喰が白く輝かず少し暗い印象を受ける。ライトアップ時間は、2020年度は平日も日没から21時まで。石川門、河北門、鶴丸倉庫、鼠多聞、鼠多聞橋、菱櫓、五十間長屋、橋爪門などだ。鼠多聞の竣工を記念して、すぐ近くの玉泉院丸庭園もライトアップされている。

また、司令部と切手門は北向き、野田山の利家墓所は東向きだ。撮影の参考にしてほしい。

金沢城の写真集

城郭カメラマンが撮影した「お城めぐりFAN LIBRARY」には、金沢城の魅力を映す写真が並ぶ。事前に目にしておけば現地での発見が鮮やかになり、旅の余韻もいっそう深まる。

金沢城周辺の観光スポット・史跡めぐり

兼六園

兼六園金沢城に隣接する大名庭園で、日本三名園のひとつにも数えられる。代々の藩主それぞれが手を入れ、形作られた。廻遊式庭園を基本に、築山や曲水が取り入れられている。

兼六園

住所:金沢市兼六町1)
3月1日〜10月15日 7:00〜18:00
10月16日〜2月末日 8:00〜17:00
年中無休
入園料 320円

※兼六園と他の文化施設(*1)のうち、ひとつに入館可能な「兼六園+1」チケット500円もあり。
*1=菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門、石川四高記念文化交流館(石川近代文学館)、石川県立美術館、石川県立歴史博物館、加賀本多博物館、いしかわ生活工芸ミュージアム(石川県立伝統産業工芸館)

時雨亭

兼六園内にある時雨亭は6代藩主、前田吉徳が建て替えた御亭を復元したもの。抹茶、煎茶の呈茶もある(有料)。
9:00〜16:30 (最終入亭16:00)
12月29日〜1月3日は休館

尾山神社

尾山神社の唐門前田利家と正室の松を祀った神社。1873(明治6)年、旧加賀藩士たちが造営した。2代藩主だった利長が利家を祀った卯辰八幡宮の流れを汲むとされる。和漢洋の建築様式を持つ「神門」や、現存最古の避雷針などもある。金沢城二の丸御殿の唐門が移築されている。
住所:金沢市尾山町11-1

野田山前田家墓地

野田山前田家墓地野田山前田家墓地は、前田利家の兄、利久の墓が置かれたのがはじまりとされる。前田利家以降、歴代藩主とその正室、家臣が葬られている。
住所:金沢市野田町墓地

長町武家屋敷跡界隈・野村家

野村家江戸時代の街並みが残る武家屋敷地区。伝統環境保存区域、景観地区に指定されている。雪の季節に見られる「こも掛け」の風景でも知られる。武家屋敷の中で唯一公開されているのが、野村家の屋敷。藩お抱え絵師の手になる襖絵や、代々伝わる武具などが展示されている。武家屋敷界隈には、足軽屋敷2棟を移築した「金沢市足軽資料館」(入場無料)もある。

住所:金沢市長町1-3-32
4〜9月 8:30〜17:30(入館は〜17:00)
10〜3月 8:30〜16:30(入館h〜16:00)
12月26、27日、1月1、2日は休館
入館料 500円

妙立寺

妙立寺加賀藩三代藩主、前田利常が創建した日蓮宗の寺院。犀川の南岸沿いにあり、周辺に置かれた寺町寺院群の一角にあり、藩が攻撃を受けた際の出城的役割も帯びていたという。別称は「忍者寺」。表からは2層に見えるが、内部は7層になっていて、さい銭箱の落とし穴や、隠し階段、落とし穴階段、望楼などさまざまな仕掛けが施されている。見学には事前予約が必要。
住所:石川県金沢市野町1-2-12

石川県立歴史博物館

石川県の歴史や民俗に関する展示や史料を収蔵・展示している博物館。常設展では、加賀藩の政治と文化にまつわる展示もある。旧陸軍の兵器庫として使われていた赤レンガの建物3棟(いしかわ赤レンガミュージアム)を復元して使っており、これ自体が国の重要文化財に指定されている。
住所:金沢市出羽町3-1

加賀本多博物館

徳川家康の側近、本多正信の次男、政重は1611(慶長16)年から前田家に仕え、その子孫は代々、加賀藩の重臣であった。その本多家に伝わる武具や調度品、関連史料など約2,000点が収蔵されている。石川県立歴史博物館と同じ「いしかわ赤レンガミュージアム」にある。
住所:石川県金沢市出羽町3-1

近隣の主要な城

七尾城(石川県七尾市)、鳥越城(石川県白山市)、小松城(石川県小松市)、大聖寺城(石川県加賀市)、松浪城(石川県鳳珠郡能登町)、末森城(石川県羽咋郡宝達志水町)など。

金沢城周辺グルメ・名物料理

近江町市場

近江町市場は、江戸時代から金沢の人びとに親しまれてきた「金沢の台所」。愛称は「おみちょ」。約170店舗が軒を連ね、地獲れの魚介や野菜・くだもの、生活雑貨などが取りそろう。飲食店も40店ほどあるので、城めぐり前後の腹ごしらえにもおすすめ。
住所:金沢市上近江町50

香林坊大和

DAIWA香林坊店8Fにあるレストラン街からは、金沢城の城山を見ながら食事が楽しめる(櫓などの建造物は見えないとのこと)。
住所:金沢市香林坊1丁目1-1

その他のグルメ・お土産

金沢城アクセス・駐車場・営業時間

所在地

住所:石川県金沢市丸の内1番1号 [地図を見る]

県別一覧:[石川県の城]

電話:076-234-3800(金沢城・兼六園管理事務所)

開館時間

金沢城公園

入園無料
3月1日〜10月15日 7:00〜18:00
10月16日〜2月末日 8:00〜17:00

夜間開園(ライトアップ)
〜21:00(入園口/石川門口、鼠多門口、玉泉院丸口)
外周石垣ライトアップ
〜22:00

早朝開園
3月1日〜3月31日 5:00〜6:45
4月1日〜8月31日 4:00〜6:45
9月1日〜10月15日 5:00〜6:45
10月16日〜10月31日 5:00〜7:45
11月1日〜2月末日 6:00〜7:45

菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門

320円
9:00〜16:30 (最終入館16:00)
※兼六園と他の文化施設(*1)のうち、ひとつに入館可能な「兼六園+1」チケット500円もあり。
*1=菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門、石川四高記念文化交流館(石川近代文学館)、石川県立美術館、石川県立歴史博物館、加賀本多博物館、いしかわ生活工芸ミュージアム(石川県立伝統産業工芸館)

河北門・鼠多門

無料
9:00〜16:30 (最終入館16:00)

玉泉庵

9:00〜16:30 (最終入館16:00)12月29日〜1月3日は休館
呈茶730円(オリジナル上生菓子付き)

重要文化財の特別公開(石川門・鶴丸倉庫・三十間長屋)

アクセス

鉄道利用

JR金沢駅下車、城下まち金沢周遊バスにて。

バス

城下まち金沢周遊バス「金沢駅東口(6番のりば)」から右回りルートで15分。「兼六園下・金沢城」下車。

マイカー利用

北陸自動車道金沢西ICから30分、金沢東ICから30分、金沢森本ICから20分。

第六駐車場

金沢市小将町1-53
最初の1時間350円 以降30分ごと150円
1泊(22:00〜翌8:00)1,060円

石引駐車場

金沢市石引4-380
30分100円(7時〜10時入庫、18時以前に出庫で最大900円)

地図

金沢城周辺ホテル・宿泊情報

金沢駅近郊で宿を探すより、金沢城の周辺で探す方がその数が多い。特に金沢城西側の国道157号線に密集している。金沢城への徒歩圏内で特に近いところで探すなら、城の南側、ちょうど金沢城西外惣構跡付近に建つ「きくのや旅館」や「ホテルクラウンヒルズ金沢」あたりが良い。金沢城は早朝も入ることができるので(兼六園も時期により早朝入園可)、観光客が少ない時間帯に金沢城を撮影するベースキャンプに良い立地。すぐ近くに商店街もありなにかと便利かも。

そのほか、金沢の宿泊処は金沢旅物語に掲載されている。