写真:岡 泰行

津山城の歴史と見どころ

津山城(つやまじょう)は近世城郭技術の最盛期を代表する平山城だ。本能寺の変で織田信長と共に最期を遂げた森蘭丸成利(なりとし)(長定とも)の末弟、忠政が築城した津山城(別名・鶴山城(かくざんじょう))。築城に約13年かけられた城は、五層五階、地下一階の天守と70以上の櫓、それらを取り巻く石垣や堀など、旧美作(みまさか)国国主としての威信を誇るものであった。森氏が一時改易となり津山を去った後は、親藩・越前松平家が入封し明治を迎える。明治6年(1873)の廃城令を受け、翌年から天守その他の建物は全て取り壊され石垣のみが残された。しばらくは放置されていたが、地元有志による「鶴山城趾保存会」による保存運動が始まり明治33年(1900)、津山町営の鶴山公園となり、以来さまざまな整備が進められてきた。昭和38年(1963)、国の重要文化財の指定を受ける。

現在、城のシンボルとなっているのは備中櫓。白漆喰を美しく塗込められた姿は、城を取り巻く高石垣と共に絶好の被写体となっている。平成10年(1998)に策定された「史跡津山城跡保存整備計画」の一環として、発掘調査や残された絵図、古写真などを元に復元されたもの。内部は畳敷きの御殿様式で当時は本丸御殿ともつながり、城主とその家族の生活の場として使用されたと推定されている。

約千本の桜(ソメイヨシノ)がある鶴山公園は、「日本さくら名所100選」にも選定されている。毎年4月1日〜15日に開催される「津山さくらまつり」に合わせて津山を訪れ、春の作州路を堪能する旅程も考えてみたい。

桜に包まれる津山城
表中門脇の見附櫓跡からこの地方有数の桜の名所となった津山城を望む。

津山城の備中櫓
忠政の女婿、池田備中守長幸の訪城にちなみ「備中櫓」と名がついたという。

津山城備中櫓の内部備中櫓の内部。床の間、違い棚を備えた「御座之間」や「御茶席」などがあった。

津山城表中門跡
三の丸から二の丸に至る高石垣に囲まれた表中門跡。階段幅が広いのも特徴。

津山城天守台
天守曲輪の天守台。五層の天守は、破風を持たない質実なものであったと伝わる。

津山郷土資料館

津山郷土資料館には、津山城の1/150の精密な復元模型がある。または、「よみがえる津山城」DVD約40分。(津山城築城400年記念事業実行委員会 企画制作/KSB瀬戸内海放送 番組制作)。事業協賛者への限定記念品で2004年3月発行。津山城の全体像のCGや、備中櫓復元の様子が分かりやすく解説されていておすすめ。津山城備中櫓内部で見られるぞ。
[豊川左京大夫秀家 (1998.01.18)]
[半兵衛 (2006.10.01)]

そのほか、津山城の南へ徒歩5分の所にある津山観光センターでは津山城に関連するものが色々と売られており、山陽新聞サンブックス「津山城」1,714円(税別)が資料として最適です。また「在りし日の津山城」という絵葉書は津山城の古写真による6枚組の絵葉書で、値段も250円とおすすめです。
[吉田 豊太郎 (1999.09.28)]

津山城の撮影方法

遠景の撮影は主に2ヶ所。備中櫓の南西に位置する「津山セントラルホテル 新館アネックス」最上階レストランのテラスから、または、真南に位置し備中櫓を正面から捉える吉井川に面した「IZUMI」ショッピングセンター屋上駐車場からどうぞ。いずれも200mm程度の望遠でOK!もっと遠景なら、神南備山展望台から望むと良いぞ。

津山城の写真集

城郭カメラマン撮影の写真で探る津山城の魅力と見どころ「お城めぐりFAN LIBRARY」はこちらから。

津山城の関連史跡

津山は城東、城西と2つの地区に分かれるが、どちらも風情のある町屋が残る。どちらかというと、城西のほうが下級武士が住んだらしく、城東に武家屋敷などが点在する形で残る。なお、寺町と呼ばれる界隈は臨戦時に城の曲輪として機能する役割があったとか。詳しくは観光案内所でイラストマップを手に入れて訪ねてほしい。移築城門は2基。尼子晴久が再建の中山神社に津山城二の丸四脚門と、大隅神社の神門がそれ。特に四脚門がそうだが、両方とも乗馬したまま通れる高さ。または、衆楽園(藩の庭園)あり。その他、佐良山煙硝庫、作州城東屋敷、箕作阮甫旧宅など。
[半兵衛 (2001.09.26)]
[豊川左京大夫秀家 (1998.01.18)]

津山城の史跡めぐりにこだわる最適なホテル

市外ですが、奥津、湯原、湯郷の三つの温泉(美作三湯)があります。津山城の付近のホテルなら、「津山国際ホテル」または、「津山セントラルホテル 新館アネックス」。津山国際ホテルは、部屋によっては、備中櫓がよく見える(ガラス窓は開かないため撮影は困難)。落葉してからだと全景が見られるが、備中櫓前の桜が葉をつけている時期は1階部分が見えない。セントラルホテルアネックスは、限りなく上階が良いが、最上階レストランにはテラスがあり、そこからの眺望が抜群に良い。
[半兵衛 (2006.10.16)]
[豊川左京大夫秀家  (1998.01.18)]

津山城のアクセス・所在地

所在地

住所:岡山県津山市山下135 [MAP] 県別一覧[岡山県]

電話:0868-22-3310(津山市観光協会)

開館時間

8時40分〜19時(10月〜3月は〜17時) 備中櫓は9時〜16時30分(入館)
※さくらまつり期間中(4月1日〜15日)は7時30分〜22時 備中櫓は9時〜18時30分(入館)
休館日:12月29日〜31日

アクセス

鉄道利用

JR津山線、津山駅下車、徒歩15分。駅レンタルサイクル(2時間400円)有り。城下町は細い道が多く、また、武家屋敷など点在しているため利用すべし。

マイカー利用

中国自動車道津山ICから。無料駐車場(30台)有り。

城ファンの気になるところ (11)

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    津山という地名の由来にもなった鶴山(「つるやま」と読みますが、訓読みからそうなったようです)という小高い山の上にあります。

    ( 豊川左京大夫秀家)

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    三段の石垣がほぼ完全に残っています。天守は、創建当時の小倉城天守をまねた、破風のない五層天守でした。初代の津山藩主は森忠政(森蘭丸の弟)で、17万5千石で入封。

    ( 豊川左京大夫秀家)

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    櫓の数は20を超えていましたが、17万5千石の藩にしては規模が大きすぎて、未完成の郭もあったようです。天守はこの事とは関係ありませんが、破風のないシンプルな五層天守でした。

    ( 豊川左京大夫秀家)

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    おそらく完存と思われる高石垣と厳重な防備が目を惹く。特に天守郭の搦手は圧巻。

    ( 曽我部)

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    三層の天守、実は五層。天守閣の完成後幕府の目付けの目をごまかす為に、やぐらに紙を貼り3層に見せかけたとか。5層の天守閣の築城が許されず幕府の命により3層の天守閣しなければならなくなり、急遽張り子でごまかしたとのこと。天守閣の完成後のこととて、慌てたことでしょう。

    ( ちゅうちゃん)

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    とある櫓(あえて記さず)の石垣の中から、夜な夜な乙女の泣き声が……。石垣を組む時、何度積んでも崩れてしまい、通りかかった遍路の母娘を捕らえ、娘を人柱に建て、やっと石垣を組上げた。そのたたりか、夜な夜な……。

    ( ちゅうちゃん)

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    地元ではお城を「鶴山公園(かくざんこうえん)」と呼ばれています。城内はその石垣の壮大さに圧巻ですが、3月木蓮、4月桜、5月つつじ・藤、6月あじさい、9月彼岸花、11月紅葉と、とにかく花に包まれた城跡。4月の桜(5,000本の桜で西日本一)と、11月の紅葉は、他の城跡に見ない壮大さがあります。また、小さい動物園もあります。

    ( 豊川左京大夫秀家・半兵衛)

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    往時は60もの櫓がそびえた津山城は姫路城にも引けを取らぬ大城郭でした。平成16年に城内最大級の備中櫓が古写真、図面などを元に在来工法にて復元されました。御殿の一部であったこともあり、内部は畳敷きです。

    ( 氏綱)

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    津山藩の佐良山煙硝庫が、国道53号線から神南備山へ登る途中の雑木林の中にあるらしい。古墳を改造したもので、4代藩主、森長成のときにこちらに移したものだとか。

    ( 左近)

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    異常に堅固に築かれたお城です(一般にあまり知られてないですが)
    1)石垣
    日本3大一二三城にあげられるくらい圧巻な石垣群。
    ただ、津山城の築城途中に江戸城をはじめ名古屋、駿府等々の石垣普請などで出費がかさみ自分の城の完成に至らなかった(武家諸法度のため)ことは残念ですが、それは一つの歴史の楽しみ方でしょうか。
    2)横矢と櫓の数
    77の櫓の数がありました。そして本丸にたどり着くまでに沢山の横矢をかけられる様に設計されているので容易ではないでしょうが、戦は無かったので想いを巡らせるだけですがとても楽しくなります。
    3)これはなぜ
    三の丸から二の丸に上る表側の階段は幅がおそらく日本一クラス。
    天守閣の北側の門は階段が無い(木製の階段で戦時はそれを持ち上げる仕組み)。
    天守台石垣内側のハートの形した石。

    ( 夢小路あきまろ)

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    明治7年に津山城の建物は取り壊された。その材木は、筏で吉井川を下って、瀬戸内の塩を製造する燃料に使われたそうな。

    ( 城好きの匿名希望)

城の情報

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