写真:岡 泰行

岩国城の歴史と見どころ

岩国城の歴史、御土居と山頂要害

岩国城の御土居慶長7年(1602)、岩国藩初代藩主吉川広家が城山の麓に日常の居館として「御土居」を造り、山頂に有事の際の要害として、慶長8年(1603)から13年にかけて山城、横山城を築くが、元和元年(1615)の一国一城令で壊され、更に寛永14年(1637)の島原の乱の後、壊滅させられた。現在、横山城は二ノ丸、北ノ丸、本丸、天守台、空堀、水ノ手など曲輪跡が残り、一部で石垣が残る。昭和37年(1962)に、麓から見られるようにと本来の位置から約30mに南に復興天守が建てられ、錦帯橋とともに美しい景観を創っている。山麓の御土居は岩国の政治の拠点として続き、明治を迎えた。現在、その跡地には水堀と犬走り、石垣が残り、隅櫓のあった場所に錦雲閣が建っている。

遺跡らしさを求めて

岩国城の要害(横山城)に残る虎口跡岩国城の山頂の要害(横山城)は、整備エリアを歩いていると石垣が積まれた近世の城らしさを感じてしまうが、歴史を考えると今に残るはずもなく、北ノ丸の石垣と水の手付近の虎口を見ておくと、荒々しく残された遺跡らしさ、山城らしさを感じ取ることができる。前者の北ノ丸は、石垣下に犬走りがあるため石垣を見ながら歩くルートがある。後者の水の手曲輪は、大釣井から北に削平地を北西に進むと内枡形の虎口跡を見ることができる。未整備のエリアでは岩国城の石垣は崩落したものばかり目にすることになるが、この虎口には一部に石階段が残されており、山城らしい高低差をもった虎口を感じる取ることができる。これらは復興天守1階で展示されている縄張図を見るとその場所がよく把握できる。

吉川史料館

吉川史料館吉川家800年の歴史資料、約7,000点の収蔵品を誇る史料館。吉川元春の兜、山中鹿之助の三日月の兜などが見られる。

岩国城の散策コース

錦帯橋は、AM8:00~PM5:00(夏季PM7:00)で夜間通行も可能(料金箱へ料金を入れる)。復興天守のある山頂へ登るロープウェイは、AM9:00~PM5:00(20分おき)、復興天守は、AM9:00~PM4:45(入館PM4:30まで)。なお、ごくまれにロープウェイ点検があり、その時は復興天守も休館となる。

岩国城の撮影方法

錦帯橋と岩国城復興天守なんと言っても錦帯橋と復興天守のセットがこの城の代表アングル。完全に東向きなので午前中の撮影が良い。さらに錦帯橋に観光客がいない時を狙うなら、早朝が光もよく適しているぞ。河原に降りて撮影しよう。また、山頂の復興天守からは、瀬戸内海までの眺望を得ることができる。そのほか、毎年5月には御土居(吉香公園)一帯で、ツツジが咲き誇る。(shirofan 10.05.27)

錦帯橋と岩国城のライトアップは一年中毎日だそうです(日没頃から午後10時まで)。時期によって錦帯橋のライトアップは色が変わるとのこと。桜の季節は青のライトアップで幻想的です。(UKIZO 13.04.02)

岩国城の写真集

城郭カメラマン撮影の写真で探る岩国城の魅力と見どころ「お城めぐりFAN LIBRARY」はこちらから。

岩国城の関連史跡

吉香公園付近に点在

岩国藩の中心部、「御土居(陣屋)跡」を忘れずに。水堀、土橋、石垣、犬走りが残り、隅櫓のあった場所に錦雲閣が建つ。山頂の城より御土居の方がその中心だ。そのほか「吉香公園(きっこうこうえん)」近郊に国の重要文化財の目加田家住宅、香川家長屋門、旧吉川邸厩門、昌明館付属屋及び門、佐々木小次郎銅像、吉川広嘉銅像、吉川家墓所など。

そのほか付近の城で近いところと言えば、山陽自動車道「大竹IC」すぐの亀居城

護館神は、岩国城の石切場

岩国城の石切場「護館神」横山の山頂には北に岩国城(横山城)があり、南に護館神がある(城山展望台や三角点はさらに南)。そこは岩国城築城の際の石切場があり、石灰岩を尾根づたいに運び、岩国城の石垣を築造した。天明3年(1783)に天狗堂を建立、勝軍延命地蔵が安置されていたことがある。岩国藩祖吉川広家が12才の時、祖父にあたる毛利元就からもらったもので、吉川家の武運長久の守護神。ロープウェイ乗り場から南へ尾根づたいに徒歩20分、現地を訪れると累々と巨大な岩があり、一部に矢穴が見られる。

岩国城のおすすめ旅グルメ

「岩国寿」という押し寿司と「鮎」が有名。

岩国城の史跡めぐりにこだわる最適なホテル

岩国国際観光ホテル岩国で宿泊できるところは、ほんの数件しかないが「岩国国際観光ホテル」は接客が良くおすすめ。JR岩国駅・JR新岩国駅まで送迎も。温泉の露天風呂が2つあり、それぞれ錦帯橋と復興天守が望める。また、城が綺麗に見られる部屋が多い。余談だが、岩国国際観光ホテルの前身は、料亭深川。第二次大戦中には、山本五十六率いる連合艦隊最後の作戦会議が岩国海軍航空隊で行われ、その後、料亭深川で宴が行われた。会議後に撮られた山本五十六を中心とした参謀の写真が、岩国国際観光ホテルに展示されている。

岩国城のアクセス・所在地

所在地

住所:山口県岩国市横山 [MAP] 県別一覧[山口県]

アクセス

鉄道利用

JR山陽本線「岩国駅」下車、またはJR山陽新幹線「新岩国駅」下車。いずれもバス約15~20分「錦帯橋バスセンター」降車(錦帯橋バスセンターにコインロッカー有)。山頂の復興天守へは、錦帯橋から徒歩10分でロープウェイ「山麓駅」約3分「山頂駅」、大手門跡まで徒歩3分。なお、錦帯橋バスセンターで帰りの時刻表のチェックを忘れずに。錦帯橋前にはタクシーも少々、新幹線新岩国駅まで2,000円弱。タクシーは付近の土産屋で呼んでもらうこともできる。錦帯橋を渡った土居と呼ばれるエリアでも可。

マイカー利用

山陽自動車道「岩国IC」から2号線利用で錦帯橋を目指し約20分。有料駐車場有り(錦帯橋下河原、上河原、ロープウェイ乗り場前)。

城ファンの気になるところ (15)

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    岩国城周辺は非常に発達した観光地。錦帯橋が有名です。城にはロープウェイで楽に登れます。復元天守ですが外観は迫力があります。

    ( さっさ)

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    昼間も良いですが、なんといっても夜間ライトアップされた岩国城は必見。背景の山が暗闇に包まれ、空にポッカリと浮かんだように見える岩国城はまさに天空の城。ちなみに夜はカップルだらけです。

    ( K-G)

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    岩国城登山口近くに吉川家墓所があります。何年か前に誰の墓か分かるように案内板が用意されました。吉川広家以降のお墓があります。

    ( たかへー)

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    吉香公園の中央にある噴水の石垣は、なぜか扇の勾配…。

    ( 光秀)

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    岩国城は、錦帯橋と橋を渡った「吉香公園(きっこうこうえん)」付近の「土居」エリア、横山の山頂の城域の3つがセットと思って攻めると分かりやすい。時間のある人は吉川家墓所も合わせてどうぞ。

    ( 城の観光好き)

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    横山山頂の北部に山城を築き、西・北・東を錦川が外堀となって守るかたち。山麓には領主の居館を中心とした「土居」と呼ばれるエリアを設け、内堀を設けた。その周辺に家臣の屋敷を配置したらしい。

    ( 城の観光好き)

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    山頂の城跡は、元和元年・寛永15年を期に吉川広家により破却しているため、石垣の隅部が壊され各所にかなりの数の石材が転がっている状況。復興天守を建てる際も石材には苦労しなかったとか。破城されているとはいえ、その起伏は残っており、中でも北の丸にある空堀は見事な規模だ。

    ( 城の観光好き)

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    岩国という地名から分かることは、石が豊富にとれた地域ということだそうな。

    ( 城の観光好き)

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    錦帯橋を渡った左手にある「槍倒しの松」は、その名の通り、ほかの大名が城下を通過する際に儀礼上、槍を倒させるため、横枝が張った松を橋のたもとに植えたものだとか。

    ( 城の観光好き)

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    岩国城の復興天守がある横山山頂で見るべきものは次の通り。場所は上記マップでチェック。

    出丸跡
    大手門跡
    二の丸跡
    東矢倉跡
    空堀
    北の丸跡
    天守台
    大釣井と呼ばれる井戸
    復興天守
    岩国城(横山城)の石切場、護館神

    ロープウェイの山頂駅の案内版で現在、見学できる見所が分かる。残念ながら城域の西側(水の手)は、車道が通り遺構が分かりづらいが、車道より西側の木々に埋もれ「後矢倉跡」、「竹谷矢倉跡」、「小釣井」、「北矢倉跡」がある。また、流濠(ながしぼり)という名がついた珍しい竪堀がある。なんでも麓の居館周辺まで伸びているのだとか。

    ( shirofan)

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    天守閣は吉川広家時代は、本丸の北にあったが(現在天守台のみ)、錦帯橋からの景観を考えて、本丸の南に作られた。この復興天守は、外観は古図面をもとに設計され昭和37年3月21日に完成したもので、今や歴史は長く、コンクリート造りでも月日を経て外観は立派に見える。瓦に吉川家の九曜の紋があるのをチェックしておこう。

    ( shirofan)

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    天守閣は桃山風南蛮造り。その南蛮造りとは何かをチェックしておこう。岩国城の場合、天守閣の三層目が二階建て(三階・四階)になっており、三階に屋根を設けず四階が三階より外に、はみ出している構造のこと。外観を区分するために使用される言葉で、この構造は主に最上階で使用されることが多いが、岩国城では中層階で使用されている。ほかに小倉城、高松城などがあるぞ。

    ( shirofan)

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    吉香公園付近で見るべきものは次の通り。場所は上記マップでチェック。

    土居跡(陣屋跡)と水堀
    昌明館付属屋及び門

    佐々木小次郎銅像
    佐々木小次郎は、錦帯橋河岸の柳とつばめを相手に「つばめ返し」を編出したとか。銅像は東向き。

    目加田家住宅
    目加田家住宅は、中級武士の屋敷。目加田家は近江出身で吉川元春に召し抱えられたのだとか。

    香川家長屋門
    香川家長屋門は、岩国藩の家老の香川氏の表門。香川氏は広島の八木城主だったらしい。

    吉川広嘉銅像
    銅像は東向き。

    吉川家墓所
    岩国藩主吉川家代々の墓がある。初代広家から12代。

    土居の隅櫓跡に建つ錦雲閣(きんうんかく)は、明治18年に土居が公園化されたのを期に建設された吉香神社の絵馬堂。お城の建物ではないけど、水堀越しに見るとちょっと綺麗。土居の石垣は、約4mの犬走りがあり、その上に約2mの石垣を築いているのをチェックしておこう。

    ( shirofan)

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    錦帯橋の橋台を橋の上からのぞき込むと、石と石とのつなぎを補強する鎹(かすがい)である「ちぎり」が施してある。お城では金沢城大阪城で見られるちょっと珍しいもの。

    ( shirofan)

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    錦帯橋と岩国城のライトアップは一年中毎日だそうです。(日没頃〜午後10時まで)時期によって錦帯橋のライトアップは色が変わるとのこと。桜の季節は青のライトアップで幻想的です。

    ( UKIZO)

城の情報

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