2020.04.02   /   城の撮影方法   /  

岡山城の日の出

城の撮影 心得編10ヵ条

城の特徴を捉えるべし ロケーション

日本の城に同じかたちはない。たとえば安土城なら直線的な大手道と八角形の天主台、四国の松山城なら登り石垣と天守群、犬山城なら木曽川沿いの丘上にある天守の佇まいなど、その城の特徴(ロケーション)を知ることで撮影ポイントが明確になるぞ。

城の特徴を捉えるべし 城を表現するには組写真

城というのは、中世山城でも近世城郭でもその城を代表するアングルがある。最もその特徴が写り込み、美しさを兼ね備えたアングルだ。では、それ意外の写真が不要かというとそうではない。例えば城門や特徴的な石垣など、観るべきパーツ写真を併せ持つことで、その城がはじめて表現できる。要するに1枚の代表アングルに、何枚もの遺構写真を組み合わすと、その城らしさが表現できるという訳だ。この表現手法を「組写真」という。城めぐりの際は、観たものをできるだけ撮影しておくと良く、頭の中で、どの写真でその城が表現できるのかを探りながら撮影すると、より城の特徴を意識することになり面白くなる。

天候を操るべし

晴天なら白漆喰と青空のコントラストが綺麗な白亜の城に、曇天なら光がよくまわるので山城や北側からの撮影が適した城へと、訪れる城をちょっと意識するだけで、その城の姿がより綺麗に撮影できるぞ。筆者は、ぶれの少ない前日天気予報を見て行き先を決めている。

過去に、とあるメディアの人に、この種の原稿を依頼されたことがある。その時、「天候によって行き先を変えるのはあり得ない」と言われ、原稿の修正依頼(ほぼ命令)が来たことがある。少なくともどうやって筆者の写真が撮られているのかを知りたい訳ではなかったようだ。その割に他の項目は掲載された。時間は有限。歴史旅というのは、Photo派でなくとも、常に行く先候補をいくつか持っていて、その中からチョイスしていくものだ。そういった感覚が理解できず、シングルタスクに近い固定観念で判断されてしまった。悲しいことだ。

撮影時間を操るべし

もしも城をスタジオ撮影できるならライトを当てて綺麗に撮れるが、野外撮影となるとそうはいかない。太陽の場所をチェックして、逆光にならないように気をつけよう。とはいえ、逆光で撮ることでシルエットが映える城もあるのだが。日中、常に太陽がどこにあるかを意識するだけで、より確実な絵を撮ることができる。要するに朝なら東向きの櫓を、夕方なら西側の城門をといった具合にその時間に適したポイントを攻めていくと、表情豊かな城の組写真を撮ることができる。

余談ながら、筆者は方位を知るために、20年前は方位磁針を持ち歩いていた。15年ほど前からは方位を示す登山用の腕時計を常にしている。今ならスマートフォンのアプリで方位や太陽の軌道を容易に知ることができるので活用するのも良いかも。

とにかく城内を歩くべし

城内をくまなく歩いて撮影ポイントを見つけよう。その城の違った顔を発見したり、いろいろな風景に出会える。大切なことは、いい風景に出会ったときにしっかり足を止めて撮影すること。少しコツがある。自分も歩いて進んでいるから「いい風景だ!」と思ったら、そのポイントから微妙に行きすぎていることがある。2歩ほど下がって感動したアングルを確認しながら撮影すると良いことが多い。

そしてなによりも、歩くことでその城の規模を体感できる。また、荷物の量にも気を配っておくと良い。筆者の場合、2万歩も歩けば疲れが出だす。これはその日の装備にもよる。軽いコンパクトデジカメ1本で山城攻めなどでは、さして疲れは来ないが、交換レンズ3〜5本に一眼レフといった重量級の装備の場合は、そもそも行く前に、城に合わせてレンズをチョイスしたり、三脚の利用シーンの有無も調べておくと、軽量化に繋がり、より多くの曲輪に何度も足を運ぶチャンスに繋がる。こういった機会をたとえ数%でも増やしていくことで、思わぬ風景に出会える機会が増えていく。

筆者の場合は短時間にアングルを決めるノウハウがあるので、三脚をじっくり据えて撮影するというシーンはそうそう無く、常に動いている。取材に同行した人は、筆者がそそくさと撮影するのを、不思議そうな顔で見ていることが多い。どうしてかと聞いてみると、短時間で決め打ち撮影しているのだが、いい加減に撮っているようにしか見えないらしい。それくらい速い。ただし、人待ちはするので(人が居なくなるまで粘る)、時間はそこでも使う。

ファインダーでその風景を確認すべし

ファインダー(液晶画面)を見て「あれ?実際の風景と違うな」と思ったら、それは画面の中に感動を与えた要素が入らなかったということ。ファインダーを覗きながら上下左右に動かして自分がどこに感動したのかチェックしてみよう。

高いところから観るべし

近世の城で付近に高層ビルがあれば登ってみよう。天守や縄張りを一番綺麗に捉える撮影スポットがそこにあるかもしれない。近世城郭では、自治体ビルが隣接していることが多く、展望フロアもあるかもしれない。また、ホテルなどの高層建築物が隣接していることがあるから、迷わずスカイレストランなど最上階で風景とともにお食事も、城の規模が分かる写真が撮れて面白い。

春夏秋冬を意識すべし

山城派の人は、遺構メイン。ということは落葉しているほうが土塁の起伏などを撮影しやすいから秋から冬がベストシーズンだ。また、ゴールデンウィーク手前あたりまで、蜘蛛の巣が少ないので、山に入りやすい。

近世の城派の人は、春は桜、夏は緑、秋は紅葉で綺麗な城へと心がけると色彩豊かな写真を撮ることができる。たとえば、より緑が綺麗な季節は新緑の5月、より深い青空は夏、空気の澄んだ季節は秋といった具合だ。逆に、自分の嫌いな色合いを把握しておいても良い。たとえば、3月頃は山々が花粉で少し黄色に変色するからこの時期は絵になりにくいとか、夏の日中は太陽が真上にあるので、壁面が暗い影になり好みの絵になりにくいとか。

こういったことを意識することで、自分が撮りたい絵がどういったものなのかが分かり、また、季節感や色彩豊かな写真に繋がってゆく。

山城では木にしがみつくべし

とにかく暗くて手ぶれしやすい山の中。ここはと思ったところは、なるべく太い木にカメラをホールド、ISO感度を高めに設定して撮影しよう。杖がわりの一脚を使うのも手だ。セルフタイマー撮影でさらに手ぶれを防ぐこともできるぞ。近年、デジカメの技術が向上し、手ぶれせずに撮影できるようになりつつあるが、基本姿勢ということで。

案内板を見つけたらすぐ撮るべし

20年前にデジカメが出だした頃から、城めぐりのスタイルが変わった。お城めぐりは日が昇っている間が勝負。縄張図や説明板、細かい説明はさっと写真を撮っておいて、後でじっくり読むのがいい。デジカメで簡単に記録できるというのは良い。できるだけ正面から撮っておこう。ただ、解説板にも設置年代があって、その昔はこう解説されていたが、今は別の解釈だとか、そういったこともあるので、あくまでひとつの資料ということで。

(文・写真=岡 泰行)

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