宇佐山城は元亀元年(1570)、織田信長が森可成に築かせ、のちに明智光秀が拠点とした山城。標高336mの宇佐山山頂に築かれ、近江から京都への交通路を押さえた。現在は郭跡や石垣、貯水槽が残り、三の丸から琵琶湖を一望できる。このページでは宇佐山城の歴史や見どころ、登城ルート、撮影スポットを紹介する。
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宇佐山城の歴史・見どころ
宇佐山城の歴史
宇佐山城(うさやまじょう)は元亀元年(1570)、織田信長が越前国の朝倉義景ら敵対勢力と対峙するなか、家臣の森可成に命じて築かせた山城。宇佐山は近江国と山城国を隔てる比叡山塊の一部に属し、琵琶湖の西岸に位置する。築城には、当時岐阜城を本拠としていた信長が、美濃国から近江国を経て京都へ至る道を確保する目的があった。
『多聞院日記』元亀元年(1570)3月20日条によれば、森可成は近江国から京都へ入る幹線道路であった今道越(山中越え)と逢坂越を遮断し、宇佐山城の麓を通って京都へ至る「新路」を設けていた。宇佐山城は二つの主要な交通路を押さえ、新たな道を城下へ集約する位置に築かれていたことがわかる。
同年9月、浅井・朝倉連合軍が琵琶湖西岸を南下して坂本へ侵攻すると、森可成は宇佐山城から出撃して迎え撃った。可成は坂本で戦死したが、『信長公記』によれば、浅井・朝倉勢は「宇佐山城の端城まで攻上り、放火」したものの、城は持ちこたえ、信長の援軍を得て落城を免れた。
森可成の死後、宇佐山城主となったのが明智光秀である。光秀は宇佐山城を拠点として湖南地方を押さえ、元亀2年(1571)9月の延暦寺焼き討ち後、坂本城を築いて移った。宇佐山城は築城から光秀の坂本移転までの短い期間ながら、織田信長による近江から京都への交通路確保と、浅井・朝倉勢への備えを担った拠点であった。
宇佐山城の特徴と構造
宇佐山城は、近江国と山城国を隔てる比叡山塊の一角、標高336mの宇佐山山頂に築かれた山城で、城域は南北約170m、東西約45m。東麓から琵琶湖までは1km足らずで、山頂から湖南地域一帯を見渡すことができる。
山頂部は南北に細長く、北から三の丸、本丸、二の丸が並ぶ。本丸は南北約30m、幅約11.5mで、南側には大手通路に通じる正面入口の櫓門跡があり、幅約4m、長さ約5mの石段が残る。北東部には石垣、北壁下には長さ約25m、幅1.5m、深さ1mの排水溝が残る。
本丸の南約3m下に位置する二の丸は南北二段の平坦地からなり、北側には東西6.5m、南北3.4m、深さ1mの貯水槽、西壁には約18mにわたる石垣が残る。三の丸は山頂最北部に位置する約25m四方の平坦地で、その北にも南北約10m、東西約8mの郭跡がある。さらに二の丸南側にも、約3mの比高差で東西18m、南北5mの平坦地が確認され、郭跡とされている。
宇佐山城の整備状況
宇佐山城跡では、昭和43年(1968)に民間放送の基地が建設されることに伴い緊急事前調査が行われ、昭和46年(1971)には発掘調査が実施された。その成果は『大津市・宇佐山城跡調査概要』として発表されている。宇佐山城跡へは、東麓の宇佐八幡宮から山頂へ向かう登山道をたどる。現在も山頂部には本丸、二の丸、三の丸などの郭跡をはじめ、石垣、石段、貯水槽などが残る。
参考文献:
- 『日本城郭大系11』(新人物往来社)
- 戦国の大津歴史舞台「宇佐山城跡」(びわ湖大津観光協会)
宇佐山城の撮影スポット・絶景ポイント
山城は木々の陰による明暗差を避けるため曇天が撮影しやすいが、宇佐山城は晴天の午後もおすすめ。西日は主要な石垣などの遺構撮影に大きく影響せず、城跡から望む琵琶湖は午後になると順光となる。遺構と眺望の両方を撮影するなら、晴れた日の午後も狙い目となる。
宇佐山城周辺の観光スポット・史跡めぐり
森可成の墓(聖衆来迎寺)
宇佐山城主の森可成は元亀元年(1570)、坂本へ侵攻した浅井・朝倉連合軍を迎え撃ち、戦死した。聖衆来迎寺には森可成の墓が残り、宇佐山城とあわせて訪ねたいゆかりの地となっている。余談ながら、聖衆来迎寺の表門は坂本城の移築城門と伝わっている。
宇佐山城周辺の城
宇佐山城から明智光秀が拠点を移した坂本城、慶長5年(1600)の戦いで知られる大津城、徳川家康が大津城を廃して築かせた膳所城など、琵琶湖岸にはあわせて訪ねたい城跡が点在する。特に膳所城の移築城門は大津市内各所に残っており、この地の城跡や遺構をレンタルサイクルなどで、じっくりめぐるのもよい。
宇佐山城周辺ホテル・宿泊情報
宇佐山城を訪ねるなら、JR大津駅からびわ湖浜大津駅にかけてホテルが多く、宿泊の拠点にしやすい。少し贅沢に過ごすなら、琵琶湖畔に建つ琵琶湖ホテルもおすすめ。城歩きのあと、客室から琵琶湖を眺めながらゆっくり過ごすのもよい。
宇佐山城アクセス・駐車場・営業時間
所在地
住所:滋賀県大津市南滋賀町 [地図を見る]
県別一覧:[滋賀県の城]
電話:077-528-2772(びわ湖大津観光協会)
アクセス
鉄道利用
京阪電気鉄道、石山坂本線「近江神宮前駅」下車、徒歩約20分で、宇佐八幡神社(源頼義館跡)、本殿横にある登山口から山頂の宇佐山城跡まで徒歩約20分。
マイカー利用
名神高速道路、大津ICから、または京都東ICから北へ18分(6.3km)。大津京シンボル緑地観光駐車場(無料・5台・9時〜17時30分)、または近江神宮駐車場(200台)を利用する。年末年始のみ有料。
地図
掲載写真・記事は、現地調査・撮影・記録をもとに作成しています。
宇佐山城:城ファンの知見と記録
宇佐山城を訪ねた人たちが残してきた記録です。現地での発見や知見が寄せられ、城歩きの文化の中で育まれてきた経験がここに蓄積されています(全4件)。
宇佐山城でのひとときを、そっと記録に残す







近江神宮の駐車場から、南奥にある保育園脇の細道を通り、宇佐八幡宮を経由して登城しました。宇佐八幡宮までの坂もなかなか急ですが、そこからさらに山道を登って主郭を目指します。宇佐八幡宮から主郭までは20〜30分ほど。山城をしっかり歩くつもりで訪れたほうがよいです。
記録:明智光秀 2025
登城道は急なところがあり、砂礫や砂質の地面で足を取られやすく、特に下りは滑りやすく感じました。距離だけを見るよりもハードな登城です。スニーカーよりトレッキングシューズなど、滑りにくく歩きやすい靴、というか普通に登山装備がおすすめです。
記録:城好きの匿名希望 2024
三の丸から眺める琵琶湖は、この登城の大きな楽しみでした。急坂と山道を登ったあとに視界が開け、琵琶湖を一望できる景色は、けっこうなご褒美。石垣などの遺構を見て回ったあと、ここで景色を眺めながらひと休みするのがおすすめです。
記録:空蝉日和 2022
城域まで登ると竪堀や曲輪が現れ、石垣も各所に残っています。なかでも主郭から二の丸下の琵琶湖側に残る石垣は見応えがあり、苦労して登ってきた甲斐を感じました。主郭周辺だけでなく、登城道終端近くの竪堀などにも注目して歩きたい城跡です。
記録:堀跡巡兵衛 2020