大阪城のライトアップ時間
大阪城のライトアップは、日没時間の10分後から段階的に点灯がはじまり、約1時間をかけてフル点灯の状態になる。消灯は24時より順次消灯し24時30分に完全消灯する(2019年6月から1時間延長されこの消灯時間となった)。時間をかけて変化するライトアップの光景。その美しさと特徴を紹介したい。
日没後ということは、季節と撮影スポットによっては、空が赤く焼けた夕景と天守をセットで撮影できるチャンスがあるぞ。
時間とともに変化するライトアップ
大阪城のライトアップには段階があり、最初は、天守上部の伏虎と入母屋破風上部にスポットライトがあたり、天守の窓に明かりが灯る(上記写真2枚)。この状態が結構な人気があるのだが、それは窓から漏れる黄色い明かりが、人の暖かみを演出していることにある。
まるで、日暮れに家路につくような、そういった住まいの暖かさを思い起こさせるかのようだ。窓の明かりは天守内の明かりが漏れているのではなく、窓の内側をこうしたことを意図してライトアップしている。
その後、白い光を発光するライトが、天守の壁面すべてを照らし、ゆっくりとフル点灯してゆく(下写真)。その変化をじっくり眺めてみても面白いぞ。
照明デザイナー
大阪城のライトアップは、平成の大改修を終えた平成9年(1997)から始まった。照明デザインは、ライトアップの第一人者といわれ、東京タワーや横浜ベイブリッジ、明石海峡大橋などのライトアップを手がけた石井幹子さんによるものだ。城では、大阪城、姫路城、信州上田城の夜桜のライトアップをてがけているから覚えておこう。
ライトアップの白さに締まりがある
余談ながら、城で最初のライトアップは、信長の安土城といわれ、天正9年(1581)のお盆の日に行われたそうだ。光源は提灯と松明。オレンジ色の発色だったのではないかと思われる。
近年、ライトアップの光源がLEDに変わり、白漆喰が光る白さに締まりが無くなり、絵的にぼやけてしまった城もある。大阪城は平成9年(1997)からその設備が変わっていない。つまり昔ながらのタングステンで、要するに、LEDと比べると白さにシャープさというか締まりがある。大阪城に足を運んだ際は、是非、美しいライトアップを観てほしい。
(文・写真=岡 泰行)