写真:岡 泰行

五稜郭の見どころと歴史資料
五稜郭の見どころと歴史資料

五稜郭(ごりょうかく)は星形の形状が美しい幕末の欧州流城郭。安政元年(1854)、締結された「日米和親条約」により開港した箱館(現・函館市)。当初置かれた箱館奉行所は港に近く防御上も不利だとされ、幕府は内陸に新たな城を築くことを決める。設計したのは、箱館奉行の下で箱館諸術調所(しょじゅつしらべしょ)教授役を務めていた蘭学者の武田斐三郎(たけだあやさぶろう)。箱館に入港していたフランスの軍艦から得たヨーロッパの城塞都市の情報を基に、5つの稜堡(りょうほ)が特徴的な星形を形成する城を計画した。安政4年(1857)から7年かけて、元治元年(1864)に完成を見る。稜堡式の城はほかに、四稜郭(函館市)、龍岡城五稜郭(長野県)がある。

明治元年(1868)、新政府が箱館府を置く。半年後、旧幕府艦隊の榎本武揚(えのもとたけあき)や元新選組副長・土方歳三らが率いる旧幕府軍が奪取し、蝦夷(えぞ)共和国(箱館政権)の拠点となった。

翌明治2年(1869)、新政府は追討軍を派遣。旧幕府軍は各地で抵抗するも、函館市街が制圧され土方歳三が戦死するなど戦況は回復せず、5月18日(旧暦)に降伏・開城。およそ1年半に渡って続き1万人以上(諸説あり)の戦死者を出した戊辰戦争も、ここに終結したのである。

大正3年(1914)に公園となり、桜が植樹されるなど函館観光のシンボルになった。昭和27年(1952)には国の特別史跡、平成16年(2004)に「五稜郭と箱館戦争の遺構」として北海道遺産に選定。平成22年(2010)、箱館奉行所の建物が当時の工法により一部復元された。毎年5月には、その歴史を後世に伝える箱館五稜郭祭が開催され、賑わいを見せる。

五稜郭の半月堡
五稜郭タワーから見下ろした稜堡式の大手虎口と三角形の馬出し(半月堡)。

函館奉行所・五稜郭
復元された箱館奉行所。屋根の太鼓櫓は箱館戦争時に艦砲射撃の的となった。

五稜郭の羽ね出し
石垣上部に張り出して見える「刎ね出し」は侵入を防ぐための「武者返し」。

五稜郭めぐりのポイント

五稜郭タワー五稜郭は、日本では珍しいヨーロッパスタイルの城郭として、北海道で唯一の国指定特別史跡に指定されている。五稜郭タワーの展望フロアにパネル展示と、五稜郭の模型がある。五芒星を上から観ておくことを考えても、五稜郭タワーは外せないぞ。

五稜郭公園散策マップ五稜郭タワーの入口すぐに「五稜郭公園散策マップ」(A4モノクロ)があるので、手に入れておこう。全てではないが城内の見どころがプロットされており、裏面の構造解説が読みやすく優れている。

五稜郭の撮影方法
五稜郭の撮影方法

五稜郭を撮る時間帯と広角レンズ

五稜郭は思いのほか広い。五芒星型の堡塁と半月堡などの形は、地上からはとても実感できないスケールだ。五稜郭タワーからの眺望は必須と考えていいだろう。城内では石垣の羽ね出しや、函館奉行所など、そのパーツを撮影するほかない。

五稜郭の半月堡五稜郭タワーからの桜の時期の撮影について解説しておくと、午前中はやや逆光となり、午後の早めの時間帯は五稜郭タワーの影が半月堡に落ちるため絵的にあまりよくない。夕方になると影が邪魔にならず半月堡が綺麗に見られる。なお、五稜郭のすべての堀をアングル内に収めようとすると、35mm換算で16mm以下の広角レンズが必要になる。スマートフォンなら、是非、パノラマ機能を使って撮影を。

函館奉行所の古写真撮影場所

函館奉行所の古写真の撮影場所マーク函館奉行所の外観を撮影するには、西向きのため午後がよく、撮影スポットは地面にカメラマークが1箇所ある。これは古写真の撮影ポイントを示すマークなのだが、ほんとに〜?と思いつつ先人のカメラマンと同じに位置に立つと建築美がすこぶる良い。このサインを考えた方はどなたか存じ上げないが、実に面白く他の城でも導入してほしい仕掛けだ。

五稜郭の桜

五稜郭五稜郭公園で咲き誇る約1,600本の桜(主にソメイヨシノ)。見頃は4月下旬から5月上旬にかけて。五稜郭の桜の光景は見事。もし城で桜に包まれる密度ランキングがあれば、高遠城津山城と1位争いをしてもおかしくないレベルと言っていい。

星の夢イルミネーションで雪の五稜郭を

五稜郭:星の夢イルミネーション毎年冬に2,000個の電球を星形に沿って灯す「五稜星の夢(ほしのゆめ)イルミネーション」がある。昨今のイルミネーションイベントと違って、色が変化する訳ではないが、それがいい。この広大なエリアで五芒星が浮かび上がる姿が圧巻。期間中は、五稜郭タワーの営業時間が19時まで延長される。

飛行機なら離陸後に振り返る

函館山と函館湾函館までのアクセスが飛行機でという場合は、帰りの便で右側座席を確保しておくと良い。離陸中、窓から函館山と函館湾を望むことができる。壮大な風景が見られるぞ。

五稜郭周辺の歴史重視の観光史跡スポット
五稜郭周辺の歴史重視の観光史跡スポット

近郊の城を忘れずに

五稜郭の近郊で有名処といえば、四稜郭権現台場(旧東照宮)、道南十二館のひとつ志苔館松前藩戸切地陣屋などがいい。もっと西へ足を伸ばして松前城も見逃せない。

函館ゆかりの館跡や土方歳三最期の地

土方歳三最期の地碑函館付近でマイナーなところといえば、弁天岬台場跡(標柱のみ)、千代ヶ岡陣屋跡。そのほか歴史好きなら、土方歳三最期の地碑、中島父子最後の地碑、函館奉行所跡(元町公園内に標柱のみ)、南部藩陣屋跡(石垣と石碑)、道南十二館のひとつ宇須岸河野館跡(解説板のみ)、諸術調所跡(解説板のみ)などなど。

世界三大夜景のひとつ、函館の夜景を

函館の夜景おあと、函館山に登ったことがなければ、是非、夕方から夜にど〜ぞ。函館山には御殿山第2砲台、千畳敷戦闘指令所跡など遺構が残っている。また、市街を見下ろす函館の夜景は、世界三大夜景(ナポリ・香港・函館)のひとつといわれている。近年、アジアからの観光客でごったがえすので、夕方あたりにロープウェイで登って、日が暮れると早々に降りるのがいいかも。

五稜郭のおすすめ旅グルメ
五稜郭のおすすめ旅グルメ

函館の寿司昼食は五稜郭タワーで。夜は、すばり寿司が良い。どのお店に行くかは各人におまかせするとして、注意点がひとつ。函館の寿司屋は、日祝休業が多い。魚市場が日曜休みなこともあるが、普段の日曜などは、お客さんが少ないのが一番の理由。お店によっては水曜日も休業してケースがあるらしく、新鮮な寿司を食べようとすると、木金土が理想だと覚えておこう。

五稜郭の史跡めぐりにこだわる最適なホテル
五稜郭の史跡めぐりにこだわる最適なホテル

函館市内のビジネスホテルをどうぞ。五稜郭から最も近いホテルは「ルートイングランティア函館五稜郭」。温泉もあり部屋も綺麗、おまけにリーズナブルでおすすめだ。

五稜郭のアクセスと観光情報
五稜郭のアクセスと観光情報

所在地

住所:北海道函館市五稜郭町43-9 [MAP] 県別一覧[北海道]

電話:0138-51-4785(五稜郭タワー)
電話:0138-21-3456(函館市教育委員会文化財課)

開館時間

五稜郭公園

堀の内側、つまり南側の正門と北側の裏門が開く時間帯は以下の通り。無料。
4月〜10月:5時〜19時
11月〜3月:5時〜18時

函館奉行所

五稜郭公園にある復元された奉行所。有料。
4月〜10月:9時〜18時(17:45 受付終了)
11月〜3月:9時〜17時(16:45 受付終了)

五稜郭タワー

五稜郭を見おろすタワー。展望台は有料。
4月21日〜10月20日:8時〜19時
10月21日〜4月20日:9時〜18時
五稜星の夢期間中(冬季):9時〜19時
1月1日(初日の出営業):6時〜19時

アクセス

函館空港からバス

空港循環バス7系統「とびっこ」利用、約30分〜40分で、バス停「五稜郭公園入口」降車、徒歩3分。
五稜郭タワートラピスチヌシャトルバス利用、約20分〜30分で、バス停「五稜郭タワー前」降車、徒歩1分。

鉄道利用

市電「五稜郭公園前」下車、徒歩約15分。または函館駅からバス「五稜郭公園入口」下車、徒歩7分。JR五稜郭駅からは、函館バス「五稜郭公園入口」下車、徒歩7分。

マイカー利用

函館空港からレンタカー、西へ約8km(20分)。五稜郭西側のコインパーキングを目指す。五稜郭は駐車場が少ないため、桜の時期は駐車場の長蛇の列を覚悟すべし。

五稜郭の旅のチェックリスト (10)

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    北海道では、五稜郭・四稜郭を見ました。五稜郭などは典型的な西欧スタイルの城ですが、大砲などが考案された時代にあっては特に要害性は認められないですね。あそこを死守するのは難しいように思えました。ただ横矢が巧みに利用され、純粋に戦国時代ならば、それなりに防御性能があったのではないかという感じがしました。

    (1999.08.21 山中)

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    ここは3年ぶりの訪城で、前回は登らなかった五稜郭タワーにまず登ってみました。頂上の展望台から見ても五稜星形がはっきりしないのは残念ですが、やはり上から見た方が形がよくわかりますね。下まで降りると、大手口の方に進み、まずは唯一作られた三角形の馬出し土塁の上へ登ってみました。この上から見る大手門付近の眺めもなかなか良いです。そして大手口から中に入り、そのすぐ左側にあった土塁の上に登る道へ進み、しばらく土塁の上を歩いてみましたが、なかなか気分が良かったです。ただ、雨が降ってすべりやすくなってい、途中土塁から下に降りる時に見事コケてしまいました。まあ、その後は気を取り直しまして、五稜郭の外縁を西側から北側の方へと進み搦手門付近へと出ました。この外縁付近の壕に面した部分にも土塁があることに今回気が付きました。

    その後中の方に戻り博物館のある方へと進むと、博物館のある場所を囲むように土塁が残っているのを見つけました。よく見ると土塁の端の方に石垣が残っているところもありましたので、これも遺構なのでしょう。記憶が定かではありませんが、確か現在博物館が建っているところに、箱館奉行所の庁舎が建っていたはずですので、それを囲むように土塁があったのかもしれません。

    (2000.08.18 KUBO)

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    今年の初夏に、五稜郭と四稜郭に行って参りました。その時、初めて知ったのですが、ルネサンス期、ダ・ヴィンチや、ミケランジェロのような、才能豊かな芸術家によるヨーロッパの要塞設計を、日本でも忠実にやったという、日本初の洋式城郭の綺麗な星型の城塞が、五稜郭だったんですよね。

    でも実際には、当初の設計通りには造られてなくて、幅30mといわれた堀も実際には12〜13mしかなく、星型の5つの出入り口を外敵から守るための半月堡も結局はひとつだけになり、また城塞の根幹をなす突角部の砲台には大砲さえ設置されていなかった。さらに、石垣に武者返しがあるという、和風的でもあった・・・なんだか、興味深い城郭です。

    (2001.10.14 nao)

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    近くにある五稜郭タワーに登り、構造を把握してから降りて見るといいかもしれません。

    (2001.10.23 かない)

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    10年ほど前には、一本木近くに「ビジネスホテル ザ・ひじかた」という面白い名前のホテルがあったそうです。

    (2001.10.23 かない)

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    五角形の城。今は五稜郭が函館でもメインになりつつあります。お寿司屋さんが特にイイ感じです。

    (2004.11.04 スズキイクコ)

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    土方歳三等、通行税を取ったり…。函館戦争で坊主が加担したり、調べると面白い所です。

    (2004.11.04 スズキイクコ)

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    中は公園になっていて、博物館などがあります。また、馬出の近くにボー ト乗り場などもあります。また樹木(特に桜)がすごいです。北海道は5月くらいに開花するので要注意。
    そして、近くに五稜郭タワーがあり、展望台からは、五稜郭を一望できます。はっきりと星型を見るには高さが足りない気がするのですが、函館空港の影響なのかこれ以上の高さは無理らしいです。

    (2005.04.21 西蓮)

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    武田斐三郎(たけだあやさぶろう)の設計で、1964年竣工。1868〜69年の函館戦争では榎本武揚ら旧幕府軍が立てこもり占拠しましたが、69年に降伏します。

    (2005.04.21 西蓮)

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    五稜郭タワー内に、土方歳三の銅像と仏式四斤山砲の実物大模型があるぞ。五稜郭内の兵糧庫付近には、新政府軍の艦載砲として発掘されたクルップ砲が屋外展示されている。

    (2015.07.30 shirofan)

城の情報

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